森昌子シングルABコレクション 1979~1986

森昌子 森昌子シングルABコレクション 1979~1986歌詞
1.ためいき橋

作詞:杉紀彦
作曲:市川昭介

白い手紙 びりびり引き裂いて
橋の上から 散らしたら
季節はずれの 雪になる
逢うたびに 逢うたびに
骨も折れよと 私を抱いた
優しい腕が あつい吐息が
この身をしめつける あゝゝ……
信じたくない 信じない

白い手紙 はらはら舞いおちて
川の流れに 消えたのに
愛のなごりが 渦をまく
北の風 暗い空
涙凍れと ぬぐいもしない
日暮れの橋は ためいきの橋
こころが寒すぎる あゝゝ……
信じたくない 信じない

北の風 暗い空
涙凍れと ぬぐいもしない
日暮れの橋は ためいきの橋
こころが寒すぎる あゝゝ……
信じたくない 信じない


2.冬の部屋

作詞:杉紀彦
作曲:市川昭介

せめて涙をぬぐってほしい
私を愛したその指で……
長いわかれじゃないと言う
直ぐに帰ると口ごもる
あかり消したらこの部屋に
冬の暗がりしのびこむ
嘘がみえる 嘘がみえる
私を抱く手に 嘘がみえる

せめて涙をわらってほしい
あなたのいつもの優しさで……
わざとかなしいかおをする
おれもつらいと横を向く
うすいカーテンすきま風
きつく抱いてもなお寒い

嘘がみえる 嘘がみえる
あなたの唇 嘘がみえる

嘘がみえる 嘘がみえる
あなたの唇 嘘がみえる


3.故郷ごころ

作詞:山田孝雄
作曲:市川昭介

私に故郷が ふたつ出来ました
生まれた町と あなたです
好きだから 好きだから
今すぐ逢いたい 帰りたい
募るこの想い 女のまごころを
届けて欲しいの あなたに あなたに

誰でも故郷を 愛してるように
あなたをいつも 想います
好きなのに 好きなのに
どうして離れて しまったの
泣いちゃいけないわ こらえるこの気持
わかって欲しいの あなたに あなたに

あなたはいつの日も 故郷のように
私の胸で 生きてます
好きなのよ 好きなのよ
このまま二人で 暮らしたい
愛の深さなら 誰にも負けないわ
伝えて欲しいの あなたに あなたに


4.春日和

作詞:東海林良
作曲:市川昭介

水かさ増した 川沿いを
あなたと歩く 春日和
二年の月日(とき)が 過ぎたけど
私は今も 変わらない
はじめての 人だから
この時を 信じます
心に迷いは ないですか
心に迷いは ないですか

雪まだのこる 山並に
桜吹雪が 似合います
確かな愛が 欲しいとき
ひとりの夜が こわかった
約束の 人だから
ひとすじに 賭けてます
心に迷いは ないですか
心に迷いは ないですか

はじめての 人だから
この時を 信じます
心に迷いは ないですか
心に迷いは ないですか


5.信濃路梓川

作詞:いではく
作曲:遠藤実

かなかな鳴いてるひぐらしが
心にしみこむ昼下り
信濃路 梓川 ひとり旅
竹籠を 背負ったおばさんが
日やけした顔をほころばせ 話しかける
ふと浮ぶやさしい あのひとの顔

短い夏の日おしむよに
コスモス垣根に もたれてる
信濃路 梓川 ひとり旅
笹舟を流して届くなら
私にも想い届けたいひとが ひとり
ふと浮ぶやさしい あのひとの顔

緑の風吹く縁側に
古びた時計が刻(とき)をうつ
信濃路 梓川 ひとり旅
いつの日か ふたりで来ませんか
絵葉書に書いておくります 恋ごころ
ふと浮ぶやさしい あのひとの顔


6.夕焼けの空

作詞:高田ひろお
作曲:遠藤実

恋に破れた わたしの膝に
母がすすめる 写真がひとつ
この人に一度 会ってみたらと
水仕事している手を拭き 声かける
涙を指に からませながら
みあげる空は 暮れてゆく
あのひと忘れて お嫁にゆけない

風に吹かれた 風鈴ひとつ
なぜか哀しく 心に響く
夕焼けの空に 愛を焦がして
あのひとの胸に甘えて みたかった
倒れるぐらいに 悩んだけれど
わたしの気持 かわらない
あのひと忘れて お嫁にゆけない

花嫁衣裳 夢みてきたの
一生いちどの ことですものね
指を折りそっと 想いよせては
涙ぐむわたしのこの胸 つらすぎる
灯りをさがして 生きてくけれど
いますぐ愛は 消せないの
あのひと忘れて お嫁にゆけない


7.波止場通りなみだ町

作詞:西沢爽
作曲:遠藤実

女は頬杖ついていた
窓に港の霧が降る 霧の彼方を船が出る
あゝ またしあわせが逃げちゃった
波止場通りはなみだ町
涙ひとすじ糸をひく

女は演歌を口ずさむ
夕べ男が唄ってた 歌と気がつき爪をかむ
あゝ またしあわせが逃げちゃった
波止場通りはおんな町
未練ごころの弾き語り

女は煙草に火をつける
マッチ一本燃え尽きる 燃えてはかない運命でも
あゝ またしあわせが逃げちゃった
波止場通りは別れ町
生きてりゃいいことあるでしょう


8.雨の港町

作詞:いではく
作曲:遠藤実

濡れた髪の雫が頬をつたい
薄い化粧 色を落としてゆく
北の町の雨には恋を失くした
私に似合いの寒さがある
たった一言さよならと
告げて別れた悲しみを包むように
降る降る降る降る 雨の港町

雪に変わりそうだとみぞれまじりの
空を見上げ人は急ぐばかり
誰れも辛さ悲しさ慣れているように
背中で語って行き過ぎて行く
あなた愛して夢をみて
胸にポッカリ空いた傷洗うように
降る降る降る降る 雨の港町

過ぎた日々は映画のコマのように
白い雨の街に浮かんで消える
遠くひびく夜汽車は今日も誰かの
哀しみ運んで来るのでしょうか
今夜限りで忘れます
頬に伝わる涙さえ流すように
降る降る降る降る 雨の港町


9.北寒港

作詞:さいとう大三
作曲:浜圭介

泣いてみようか 笑おうか
それとも 死んでしまいましょうか
どうせ 拭いてしまうのだから
涙なんかは 流さない
淋しいけれど 悲しいけれど
あなた乗る乗る 船に乗る
わたしはこころ 凍らせる

船を見ようか 帰ろうか
それとも 誰かにすがりましょうか
どうせ 涙止まらないから
お化粧なんかは 直さない
くやしいけれど むなしいけれど
あなた出る出る 旅に出る
わたしは鴎 見つめてる

酔ってみようか 唄おうか
それとも 想い出数えましょうか
どうせ ひとり泣くだけだから
家になんかは 帰らない
恋しいけれど 未練だけれど
あなた行く行く 西へ行く
わたしは寒い 夜に哭く


10.翼

作詞:橋本淳
作曲:中村泰士

とても小さなしあわせ はるかな私の旅立ち
今こわい程 この胸がふるえます
海を渡る風のように ついて行きたい
いいえ運命です くやみません
この空の青さが そうね あなたの優しさですね

燃えるこの手も心も 私はあなたにあずけた
今いたい程 抱かれてもこわくない
若い命 大切に生きて行きたい
遠い道程も あなたがいれば
あたたかなその胸 それは あなたのまごころでしょう

枝をはなれた小鳥が けがれも知らずにとび立つ
今私には 明日しか見えません
この道に いくつかの涙みえても
愛の旅路です 戻れません
この空の広さが そうね あなたの優しさですね


11.哀しみ本線日本海

作詞:荒木とよひさ
作曲:浜圭介

何処へ帰るの 海鳥たちよ
シベリアおろしの 北の海
私には 戻る 胸もない
戻る 戻る 胸もない
もしも死んだら あなた
あなた泣いてくれますか
寒い こころ 寒い
哀しみ本線 日本海

細い汽笛が こころに刺さる
星屑ばかりの 北の空
涙さえ 凍る こんな夜
吠える 風に ふるえてる
胸の痛みを あなた
あなた聞いてくれますか
寒い こころ 寒い
哀しみ本線 日本海

入り江沿(づた)いに 灯りがゆれる
名前も知らない 北の町
凍りつく指に 息をかけ
旅の重さ 筆(ペン)をとる
綴る便りを あなた
あなた読んでくれますか
寒い こころ 寒い
哀しみ本線 日本海


12.妹

作詞:山田孝雄
作曲:市川昭介

わずかばかりの 小遣(こづか)いを
胸にしまって 泣きながら
別れ惜しんだ 北の駅
妹よ つらくないかい東京は
たった一人の 妹よ
心貧しく 生きないで

春がめぐって 夏が来て
名前さえない こぼれ花
線路づたいに 咲いてます
妹よ 赤い水玉浴衣(ゆかた)着て
ふたり回した 風車
ひとり回せば 手が重い

夢に流され すがりつき
愛しながらも 故郷を
捨てて行くのね 遠い町
妹よ 泣いちゃいないか東京で
急がなくても ゆっくりと
きっと幸せ 見つけてね


13.鴎唄

作詞:高田ひろお
作曲:小林亜星

右に燈台 左に鴎
春の景色を 二つに分けて
黒い貨物の 船がゆく
煙るたき火を ふと見つけ
砂に未練の 足跡きざむ
ここは旅路の 知らぬ町

過去と涙と 流れ木燃やし
細い煙りの 行方を見つめ
あなた住む町 振り返る
寒さしのぎの セーターも
胸に潮風 さしこむばかり
ここは旅路の 鴎町

泣きもしたけど 笑いもしたと
恋の終った 今では言える
それが私の なぐさめね
夢を見ないで 眠れても
そっと寝返る すき間が寒い
ここは旅路の 港町


14.花暦(シクラメン)

作詞:荒木とよひさ
作曲:浜圭介

シクラメン シクラメン あなたは花ね
シクラメン シクラメン わたしは女

いくつも 捨てられ上手の女でいれば
泣くことなんかないものを
少しのお酒 少しの恨み
涙の数ほど きれいになれる

泣いて 笑って また泣いて
演歌うたなど お似合いね
シクラメン シクラメン わたしは女

別れ話に 慣れてる女でいれば
強がりだけで生きられる
鏡のお前 昨日の私
明日になっても 変わりはしない

泣いて 笑って また泣いて
演歌うたなど お似合いね
シクラメン シクラメン わたしは女

シクラメン シクラメン わたしは女


15.立待岬

作詞:吉田旺
作曲:浜圭介

北の岬に 咲く浜茄子(はまなす)の
花は紅(くれない) 未練の色よ
夢を追いかけ この海越えた
あなた恋しと 背伸びする

待って待って 待ちわびて
立待岬の 花になろうと
あなたあなた 待ちます
この命 涸れ果てるまで

霧笛かすめて 飛び交(か)う海猫(ごめ)よ
もらい泣きする 情があれば
北のおんなの 一途(いちず)なおもい
どうかつたえて あのひとに

哭いて 哭いて 泣きぬれて
立待岬の 石になっても
悔いは悔いは しません
ひとすじの この恋かけて

待って待って 待ちわびて
立待岬の 花になろうと
あなたあなた 待ちます
この命 涸れ果てるまで


16.おにいちゃん

作詞:山上路夫
作曲:小林亜星

私が生きることに 悩んでいた時に
どうしたと 肩をポンとたたいてくれた
買物帰りちょっと 季節の花を買えば
きれいだとすぐに ほめてくれた
あなたは 私の胸の中に
いつの日も 明るい光を点(とも)してくれる
おにいちゃんは いつも
私の心の支え
おにいちゃんとつぶやけば
生きてく勇気が 湧いてくる

明るく夢を持って 明日を見つめてる
男らしい姿 そうよ大好きなのよ
けれども体だけは お願い気をつけて
助けられることが あれば言って
あなたは 私が行く道で
幸せの行方を 優しく教えてくれる
おにいちゃんは いつも
私の太陽なのよ
おにいちゃんと呼ぶだけで
心がほのぼの 暖かい

おにいちゃんは いつも
私の心の支え
おにいちゃんとつぶやけば
生きてく勇気が 湧いてくる


17.ふるさと日和

作詞:杉紀彦
作曲:森田公一

あの人に逢いたくなって
あの人のふるさとへ来たの
ふるさとへ来たの
思い出ばなしはいい匂い
私を包んでくれるから
なんとなくぬくもる ふるさと日和(びより)

遠い日の夢追いかけて
懐かしい裏山へのぼる
裏山へのぼる
遊んだ仲間はどこにいる
涙が心を駆けて行く
風ひとつ優しい ふるさと日和(びより)

わらぶきの屋根さえ見えず
歳月にふるさともかわる
ふるさともかわる
けれども訛(なま)りがあたたかい
あいさつ言葉もあたたかい
あのひとによく似た ふるさと日和(びより)

安らぎに逢いたくなれば
いつか又ふるさとへ来よう
ふるさとへ来よう
つかれた心にしみじみと
季節の眺(なが)めがしみるだろう
その日までよろしく ふるさと日和(びより)


18.手紙

作詞:松宮恭子
作曲:森田公一

「お元気ですか、突然ですが 私結婚します」と
便りが届く
あなたが人の妻になる
とり残される訳じゃないけど
飛び立つ鳥の羽音のように
心の中を 風が吹きます
私、も少しひとり旅です
それが いいのか、わるいのか

ふたりで去年 旅したときは
あなた まだまだ 早いと笑ってました
写真に残る 幼な顔
おどけた ふたりのポーズまぶしい
桜、花びら 風に散ってく
春がゆくのを 感じています
ふたりこれから どんな坂道
おりてゆくのか 登るのか

あなたに話すつもりでいたの
私、心に決めてる 相手がいます
浮気に泣くかもしれません
子供もいつか 巣立っていって
いつか あなたと しみじみと 夕やけ こやけ
旅でもしたい
苦労ばなしを 打ち明けあって
幸せだったと笑いたい

一人、夜更けの灯りの下で 長い手紙をつづります


19.越冬つばめ

作詞:石原信一
作曲:篠原義彦

娘盛(さか)りを 無駄にするなと
時雨(しぐれ)の宿で 背を向ける人
報われないと 知りつつ抱かれ
飛び立つ鳥を 見送る私
季節そむいた 冬のつばめよ
吹雪に打たれりゃ寒かろに
ヒュルリ ヒュルリララ
ついておいでと 啼(な)いてます
ヒュルリ ヒュルリララ
ききわけのない 女です

絵に描(か)いたよな 幸せなんて
爪の先ほども 望んでません
からめた小指 互いに噛めば
あなたと痛み 分けあえますか
燃えて燃えつき 冬のつばめよ
なきがらになるなら それもいい
ヒュルリ ヒュルリララ
忘れてしまえと 啼(な)いてます
ヒュルリ ヒュルリララ
古い恋ですか 女です

ヒュルリ ヒュルリララ
ついておいでと 啼(な)いてます
ヒュルリ ヒュルリララ
ききわけのない 女です


20.紅花になりたい

作詞:杉紀彦
作曲:幸耕平

あなた紅花を 知っていますか
初夏(なつ)のみちのくに 咲く花です
朝露に濡れて 摘んだ花びら
あなたの心 愛に愛に染めるなら
私なりたい あゝ 紅花に

あなた今頃は どこにいますか
あなた呼ぶ声が きこえますか
ひと夏がすぎて 花は散っても
二人の絆 赤く赤く染めるなら
私なりたい あゝ 紅花に

あなた故郷を 作りませんか
二人生きて行く その場所です
優しさが好きよ 花のいのちの
悔いない月日 愛に愛に染めるなら
私なりたい あゝ 紅花に
私なりたい あゝ 紅花に


21.寒椿

作詞:中山大三郎
作曲:船村徹

森のみどりに ひとすじの
想い出につづく 道がある
昼下り風吹けば 別れのことば
たそがれに 雨ふれば あのくちづけが
胸にしみじみ よみがえるのよ
お願い あなたに逢いたいの

そうよ見はてぬ 夢だけど
夢ひとつなけりゃ つらいもの
夜がふけて 星みれば あのささやきが
夜明けごろ 鳥なけば あなたの顔が
胸の痛みに 浮かんで消える
お願い あなたに 逢いたいの

花にたとえりゃ 私など
森かげに咲いた 寒椿
だれひとり ふりむいて くれないけれど
せいいっぱい花びらを つけては散らす
それがさだめね 悲しいものね
お願い あなたに逢いたいの


22.古都の春

作詞:伊藤アキラ
作曲:森田公一

鎌倉の坂道を父と行く昼下り
嫁ぐ日を前にして 訪れた春の寺
お前なら 幸せになると つぶやく父の
後姿が今日は小さく とても小さく見えます
おとうさん もう一度 背中で甘えていいですか
できるなら もう一度 背中で眠っていいですか
帰りたい昔が あなたにあるように
帰りたい昔が 私にもあるのです

嫁ぐ日が近づけば 不機嫌な顔になり
やめていた煙草まで ここへきて吸いだした
いい彼(ひと)にめぐりあえたねと ほめてくれても
揺れる心の裏に気づけば 何も言えない春です
おとうさん もう一度 私を叱ってくれますか
振りむいちゃいけないと 厳しく教えてくれますか
大人への旅とは 哀しいものですね
父と子はいつでも 父と子のはずなのに

桜にはまだ早く 梅の香の円覚寺
嫁ぐ人 送る人 ひっそりと花の中
こんな日は二度と来ないねと つぶやく父の
そのひとことが胸をしめつけ そっとうなずくだけです
おとうさん もう一度 背中で甘えていいですか
できるなら もう一度 背中で眠っていいですか
帰りたい昔が あなたにあるように
帰りたい昔が 私にもあるのです


23.ほお紅

作詞:SHOW
作曲:小杉保夫

ほお紅を水で落してみたら
想い出がパッと鏡に咲いた
過ぎ去った人が 振り返るから
ぼんやり外をながめる クセがついたの

つくり笑いの 細い線増えたね
暦だけが ホラ めくれてゆく
愛を 育てて ゆくことも覚えた
哀しみに こんにちはと笑う
明日のお天気どっち? 晴れて下さい
明日もほお紅つけて 生きてゆきたい

哀しみを空に浮べてみたら
歓びがパッと心を染めた
めぐり逢う人に 気づかないけど
小さな夢を見つめる クセがついたの

長い坂道 自転車をこいでる
子供たちが ホラ 汗をかいて
愛を育てて ゆくことを覚えた
幸せに いつまでも手を振り
明日のお天気どっち? 晴れて下さい
明日もほお紅つけて 生きてゆきたい


24.涙雪

作詞:秋元康
作曲:芹澤廣明

今まで愛した誰よりも
あなたを愛していたみたい
うまくはいかない恋と
みんなに言われていたけど

夜がもう近づいて
二人をせかせるわ
あゝ…さよならの
白い息が とても寒いわ あなた

愛の終わり 切れぬ想い
そっと心に隠してたの
涙雪が落ちてきたわ
私のかわりに泣いている

これから誰かを愛しても
これ以上愛せはしないでしょう
別れを選んだ恋が
私を臆病にするわ

何ももう言わないで
思い出作らないで
あゝ…悲しみの
長い影が ひとつ消えてく あなた

愛の終わり 切れぬ想い
そっと心に隠してたの
涙雪が落ちてきたわ
私のかわりに泣いている


25.恋は女の命の華よ

作詞:たかたかし
作曲:浜圭介

海鳴りないて 荒れる夜は
時計の針が むかしにもどる
恋は女の命の華よ
この指も 唇も
今もあなたのものなのに
波が波が 波が二人を
あゝ…… ひきはなす

ガラスの窓に 口紅を
うつして 頬の薄さに泣ける
恋は女の命の華よ
あの夜を やさしさを
あなた返してもう一度
呼んで呼んで 呼んでとどかぬ
あゝ…… 遠い人

あなたに待てと 言われたら
死んでも 生きて私は待つわ
恋は女の命の華よ
春がゆき 夏がゆき
秋と一緒に冬が来る
海の海の 海の暗さよ
あゝ…… 抱きしめて


26.駅

作詞:たかたかし
作曲:浜圭介

涙がとめどなくあふれ
ふたりの愛を押しながす
私ひとりを残して
あなたは 夜の汽車に乗る
儚ないものね 男と女
信じていたの あなただけ

旅ゆく人はうつ向いて
改札口をぬけてゆく
あなたこれでお別れね
止めても無駄なことなのね
一つの部屋で暮した日々を
私はきっと 忘れない

あなたこれでお別れね
見送るわ 悲しみをこらえ
今日からひとり ふりむかないで
私は生きる この街で


27.愛傷歌

作詞:石本美由起
作曲:三木たかし

命がいつか 終るよに
別れがくるのね 愛しても
思い出だけの 人生は
どうして生きれば いいのやら
秋が来て 別れの時を知る
これがさだめなら
死ぬより 悲しいわ
戻ってきてと 呼びかける
私の願いの むなしさよ

コートの襟を 立てながら
落葉の向うに 去った人
ひとりの部屋に 残された
涙はあなたの 贈りもの
幸せの季節は どこへやら
すがる胸もない
死ぬより 悲しいわ
私の愛の ぬくもりを
あなたにつたえる すべもない

眼をとじて 寝るにも眠れない
人の恋しさよ
死ぬより 悲しいわ
お酒に酔って こんな夜は
こころの傷跡 いやしたい


28.恋きずな

作詞:石本美由起
作曲:三木たかし

すがりたい すがりたい それが女の願いなら
はなさない はなさない それが男の真実です
あゝ 明日を信じ
さだめ あずける 人がいる
めぐり逢い 胸の合鍵を
好きな あなたに 渡したの
燃えて 悔ない いのち
誓う こころの 恋きずな

つくしたい つくしたい それが女の心なら
杖となる 杖となる それが男の強さです
あゝ 冬を越せば
花を届けに 春がくる
その腕の なかに 抱かれて
生きる幸せを 知りたいの
泣いた過去から 逃れ
結ぶ 二人の 恋きずな

あゝ 夢を求め
羽を寄せ合う 迷い鳥
これからは そうよ どこまでも
愛の道づれに なりたいの
つらい苦労に 耐えて
守り抜きたい 恋きずな


29.孤愁人

作詞:石本美由起
作曲:三木たかし

祭りが過ぎたら 町に
残るものは 淋しさよ
花火が消えたら 空に
残るものは 淋しさよ
愛は風さ 激しく吹いて
何処かへ消えるよ
だから 人のこころは孤独
涙の愁い人
花は咲いて 小鳥は啼いて
その命 終るのさ
みんな独り 私も独り
これが生きる さだめ

ときめきうすれた 胸に
残るものは 切なさよ
信じて 別れた 恋に
残るものは 切なさよ
愛は星よ ひと夜を誓い
夜明けに果てるよ
だから いつもこの世は無情
寄り添う 人もない
夢は醒めて 願いは途切れ
肩に降る 枯れ落葉
みんな独り 私も独り
これが生きる さだめ

愛は風さ 傷跡残し
何処かへ 去ったよ
だから 胸に悲しみまとう
私は愁い人
花は咲いて 小鳥は啼いて
その命 終るのさ
みんな独り 私も独り
これが生きる さだめ


30.二人づれ

作詞:石本美由起
作曲:徳久広司

私のいのちは あなたと決めた
女のこゝろを 信じてほしい
燃えて寄り添う 明日(あした)があるのなら
苦労七坂(ななさか) 越えてもいいわ
道づれ あなたと あゝ二人づれ

なぐさめ励(はげ)まし いたわり合えば
涙の道でも 耐えられるのよ
春の陽射しは どんなに遠くても
胸に咲かせる 幸せ「すみれ」
道づれ この世は あゝ二人づれ

一緒に生きてと 見つめる私
笑ってうなづく あなたが好きよ
冬の北風 一人じゃ寒いから
夢も宿命(さだめ)も あずけて生きる
道づれ いつでも あゝ二人づれ


31.愛彩川

作詞:石本美由起
作曲:三木たかし

熱い涙を あなたに捧げ
独りこの川渡るわ
愛の出会いも 愛の別れも
みんな あなたがくれたの
あなた さよならあなた
ふたり愛して生きた
時の流れの速さ
春は過ぎて帰らず
風もあなたの声に聞こえる
私の心は淋しい

川を彩る 夕陽の色は
燃えた名残りの影です
愛のやさしさ 愛のためいき
みんな 私を泣かすの
あなた さよならあなた
誰も恨みはしない
独り葦笛鳴らし
水に夢をさがすの
二度とあなたの胸に住めない
私の心は淋しい

あなた さよならあなた
濡れた瞼の岸に
夜は涙の舟で
流れ着くはおもかげ
いまもあなたに想いをよせる
私の心は淋しい


32.幸せありがとう

作詞:石本美由起
作曲:三木たかし

この道を ともに見つけて
この空を ともに仰ぐの
今日からは 朝に夕べに
思い出の 花を咲かそう
約束をありがとう 幸せをありがとう
もしも悲しみに つまずいたときは
抱(いだ)き起こしてね
二度とない人生だから
温かく生きて行きたい
見つめ合う瞳のなかに
きらきらと 愛の星かげ 燃える二人

旅立ちの鐘を鳴らして
届けたい 海の果てまで
今日からは いつもあなたと
愛の唄 風にあげよう
愛の日をありがとう 幸せをありがとう
もしも苦しみに負けそうなときは
すぐに叱ってね
好きだから 好きだと答え
その胸に 愛のやまびこ 交わす二人


33.雛ものがたり

作詞:石原信一
作曲:篠原義彦

今年の春の雛人形は
も少し飾っておきましょう
「お嫁に行く日が遠くなるよ」と
母の小言が聞きたくて
すみません 恋をしました
隠し事などせぬように
育てた娘が嘘までついて
おろかでしょうか 女でしょうか
あなたも昔 命をたくし……
そしてわたしが 生まれたのです

東の風が雛段渡り
桃の薫りを運びます
季節(とき)よ止まれと瞼閉じても
花は移(うつ)ろいゆくでしょう
ありがとう 倖せでした
陽だまりみたいなふところで
まだまだ遊んでいたいけど
喜びますか 悲しみますか
あなたがくれた 命を燃やし……
愛の暦をたどるのです

似てるでしょうか 似ていませんか
あなたの恋とわたしの恋は
似てるでしょうか 似ていませんか
あなたの恋とわたしの恋は

雛人形をもらってまいります


34.雁来紅

作詞:石原信一
作曲:篠原義彦

雁(かり)が来る頃 紅く咲く
雁来紅(がんらいこう)は 庭の隅
つるべ落としの 秋の日に
紅を引いても 来ない人
柔肌にふれもせず
心だけ奪ったあなた

よけい罪です 妹なんて
きれいなまゝの愛なんて
待ちわびて 待ちわびて
紅々と わたしは女
待ちわびて 待ちわびて
紅々と わたしは女

めぐる季節に草花も
色づく時が あるものを
あなた忘れた 外套を
躰に巻けば 逢えますか
洗い髪 梳(と)かす顔
いつまでも少女(こども)じゃないわ

よけい罪です 妹なんて
無情な人の言いのがれ
寒くても 寒くても
忘れない わたしは女
寒くても 寒くても
忘れない わたしは女

よけい罪です 妹なんて
きれいなまゝの愛なんて
待ちわびて 待ちわびて
紅々と わたしは女
待ちわびて 待ちわびて
紅々と わたしは女


35.悲しみの終着駅

作詞:荒木とよひさ
作曲:浜圭介

幼い頃から あなたのことを
探していたよな 気がします
それは北の港町でも
そして凍てつく冬の岬で…

あゝ 生きてさえいれば
めぐり逢えると
あゝ 涙をぬぐってくれる人に
あなたは 悲しみの終着駅だから

手鏡を見るたび 涙がいつも
似合っていたよな 気がします
それは窓に雪が降る夜
そして海鳴り旅の宿でも…

あゝ あしたにはきっと
春に逢えると
あゝ わたしを支えてくれる人に
あなたは 悲しみの終着駅だから

あゝ 生きてさえいれば
めぐり逢えると
あゝ 涙をぬぐってくれる人に
あなたは 悲しみの終着駅だから


36.涙暦

作詞:荒木とよひさ
作曲:浜圭介

あなたの手のひらに 頬を寄せたら
込みあげる想いが 言葉にならない
泣かないと 泣かないと
心に決めたのに
「ごめんね」あなた 涙をこぼして

あなたと暮らせたら 何処かの町で
ささやかな倖せ ほかにはいらない
指さきに 指さきに
夕陽が沈むから
「ごめんね」あなた 涙をこぼして

あなたの淋しさを 分けて下さい
この胸の片隅に しまってあげます
この愛が この愛が
あなたに届くまで
「ごめんね」あなた 涙をこぼして


37.~さようなら~

作詞:阿久悠
作曲:遠藤実

さようならは
こころを翔(と)び立つ小鳩
傷ついた翼を
けなげにもはばたかせ
いつまでも
見送る人の目の中に……
言葉はたくさんあったのに
とうとう一つになりました
風吹き花散るその中で
あなたに あなたに
まごころで
さようなら さようなら
さようなら

さようならは
小枝をはなれる枯葉
去りがたい思いで
二度三度うちふるえ
あわれと
感じる人のおもいでに……
生まれて何度も云ったのに
云うたびからだがやせました
季節を見送るその中で
あなたに あなたに
まごころで
さようなら さようなら
さようなら さようなら
さようなら…………


38.初秋

作詞:阿久悠
作曲:遠藤実

あなたの娘であるうちに
もっと甘えていたかった
父の胡坐(あぐら)の膝の上
組んだ両手に陽が揺れる
あれは十五 そして十九
ポツリポツリと 想い出を
嫁ぐ朝(あした)に語らいながら
涙ぐませる秋を見る

秋桜(こすもす)かすめる赤とんぼ
あれと指さし見ていたら
思いがけない淋しさが
ふいに心にこみ上げる
ここにお茶を そこに煙草
慣れぬ手つきで世話をやき
嫁ぐ朝(あした)を見送りながら
父と娘で秋を見る

あれは十五 そして十九
ポツリポツリと 想い出を
嫁ぐ朝(あした)に語らいながら
涙ぐませる秋を見る